リンパ浮腫の保存的治療
リンパ浮腫の治療には、リンパ管吻合術による外科的治療と、保存的治療(複合的治療)があります。
リンパ管吻合術も行われていますが、なかなか希望通りの根治は難しく、現在でも主には、複合的治療が行われています。
このような、リンパ浮腫の治療は、リンパ浮腫専門の知識・技術を習得した医療者(セラピスト)による、正しい指導やケアであることが大切です。
複合的治療には次の5つが挙げられます。
① 医療リンパドレナージ
機械やエステで行われているマッサージとは違い、医学的根拠に基づき、滞ったリンパの流れを改善します。
患者様自身でセルフリンパドレナージを行っている人もいますが、間違った方法では逆効果になり、時間や労力もいるため、セラピストに相談しながら、無理のない範囲で行うことが大切です。
② 圧迫療法(弾性着衣、弾性包帯)
リンパ浮腫の改善を目的とした、医療用弾性着衣や包帯の圧迫力は30mmHg以上と強く、正しく使用しないと悪化させる危険性があります。
そのため、リンパ浮腫の状態に合わせて、医師やセラピストが種類や方法を選択し、指導のもと使用することが必要です。
③ 圧迫下の運動療法
弾性着衣や包帯をつけて運動を行うと、圧迫により筋肉のポンプ作用が効果的となり、リンパの流れを良くします。
翌日に疲れが残るほど行うと逆効果になるため、心地いい程度にストレッチも取り入れ、継続して行うことが大切です。
④ スキンケア
リンパの流れが悪い状態では、皮膚は乾燥し抵抗力が弱くなり、細菌が繁殖しやすくなります。
そのため、保湿により皮膚の抵抗力を強め、細菌や外的刺激を受けにくい状態を保つことが重要です。
日焼けや虫さされにも注意し、毎日のスキンケア時に、皮膚の状態を観察し、蜂窩織炎の予防・早期発見にも努めましょう。
⑤ 日常生活指導
リンパ浮腫は、日常の様々なことが、発症および悪化の誘因になります。
腫れた腕や脚を減らすことだけに注目するのではなく、腫れるきっかけを作らない、増やさない生活をおくることが重要です。
そのため、患者様それぞれの日常生活の中で、腫れない生活を身につけることが大切です。
リンパ浮腫は、発症すると完治することはありません。
しかし、むやみに怖がる必要はなく、正しい知識を身につけ、自分らしい生活を取り戻してください。
そのサポートをすることこそが、セラピストの役割だと思っています。 |